埼玉県加須市にお住まいのA.K.様より、大塚家具製「ダウナ」羽毛布団のリフォームのお問い合わせをいただきました。
※「ダウナ」をリフォームする際には注意が必要です。
「ダウナ」リフォームの注意点については、こちらをご覧ください。
詳しくお伺いすると、おふとんはご結婚の際に購入されて23年近くご使用という事でした。
リフォームの理由としては、最近使っていて暖かくなくなってきたという事と、ご自身の身長が180cmで足が出てしまうのに日々お悩みとの事。
その為、横幅はシングルサイズへのサイズダウンをお考えでしたが、丈は230cmで150×230cmにリフォームする事になりました。
通常の210cm丈よりも20cm長く、長身の方でも足が出ずに快適にお使いいただけるサイズです。
なお、羽毛は使用して15年を超えると傷みが加速し、傷みすぎると保温性が減ったり膨らむ力が再生できなくなる場合があります。
今回は20年以上のご使用という事で、まずは羽毛の傷み具合がどの程度のもので再生できる状態かどうかを無料診断からさせていただく事になりました。
※リフォームの流れや羽毛布団の無料診断については、こちらをご覧ください。
今回は埼玉県にお住まいでご遠方のお客様ですので、まずは当店から梱包用キット(無料)を発送し、数日後にヤマト宅急便にて当店に羽毛布団が到着しました。
とても綺麗に梱包してお送りいただき、誠にありがとうございます。
早速開封し、中から羽毛布団を取り出しました。
「ダウナ」ならではの軽くてフワッとした羽毛布団が出て来ました。
それでは、詳しくおふとんや羽毛の状態について詳しく見ていきたいと思います。
まずは、品質表示ラベルを確認いたしました。
「ダウナ」は英語表記の時もあれば、日本語の品質表示ラベルが付いている時もあります。
今回は写真のように英語表記のタイプでした。
こちらの品質表示ラベルから、羽毛布団の詳細が判明いたしました。
■リフォーム前の羽毛布団
メーカー:大塚家具
ブランド:ダウナ(DAUNA)
サイズ:220×210cm(クイーンサイズ)
羽毛:ポーランド産マザーグース
ダウン率:ダウン95% フェザー5%
羽毛量:1,480g
側生地:綿100% バチスト(平織)
マス目:6×5マス
羽毛量はクイーンサイズで1,480gですので、最もボリュームの大きなレギュラータイプとなります。
(2023年3月現在は1,440gと、40g少なくなっています。羽毛価格の高騰が影響しているのかもしれません)
マス目は6×5マスで一般的な羽毛布団によく使用される縫製です。
なお、実寸でサイズを測ったところ、凡そ210×200cmのサイズで表示サイズ(220×210cm)よりも少し小さなサイズでした。
通常は側生地に羽毛を入れると膨らみが出る為、この膨らみを考慮して側生地を一回り大きめに作って羽毛を入れたらちょうど表示サイズになるように作られています。
しかし、「ダウナ」は実寸で測ると表示よりも5~10cm程度小さい場合がほとんどです。
その為、恐らくですが「ダウナ」は羽毛を入れる前の側生地でのサイズで表示されていると考えます。
(つまり、羽毛を入れた後の羽毛布団としてのサイズは表示よりも少し小さくなります)
今回は実寸で210×200cm程ですので、一般的なクイーンサイズ210×210cmと比べると横幅は同じですが丈が10cm程短いサイズです。
K様は身長が180cmで標準よりもお高く、その為に通常よりも更に足が出てしまわれていたかと思います‥。
長年のお悩みであったかと思いますが、今回のリフォームで丈を長くできますのでもう足が出ることはありません。
次に、羽毛布団を縦横に折って四つ折りにした高さ(厚み)を測ってみました。
高さを測ると、凡そ35cm程度の厚みがございました。
一概に申せませんが、クイーンサイズの場合は四つ折りにして40cm程度の厚みがあると、中の羽毛はまだ傷みすぎていない場合がほとんどです。
今回は35cm程度ですので、少しヘタってしまっている状態で羽毛に傷みが多いかもしれません。
また、羽毛が他のマスに移動してしまっている部分も見られました。
それでは、実際の羽毛の傷みについて診断したいと思います。
縫製部分を10cm程度あけて、1g程度の少量の羽毛を取り出します。
こちらが、実際に取り出した羽毛となります。
「ダウナ」にはポーランド産マザーグースのダウン95%・フェザー5%という上質な羽毛が使用されています。
今回も大きくて密度の高いダウンが見られました。
傷みとしては、まず長年のご使用によりファイバーと呼ばれる千切れてしまった状態の羽毛が見られます。
このファイバーは再生する事ができませんので、リフォームで洗浄する前後に出来るかぎり除去します。
その為、あまりにも羽毛が切れてしまった状態の場合はリフォームをおすすめできませんが、今回は標準程度となります。
また、ピリングと呼ばれる汗などの影響により丸まって閉じてしまった状態の羽毛も見られます。
このピリングは、しっかりと洗浄・乾燥する事で花が開いたような状態に再生します。
総合的には思ったよりも傷みは少なく、十分再生できる状態です。
その為、リフォームしていただく事をおすすめしました。
それでは、リフォームして綺麗にしていきます。
今回は長年ご使用という事で、羽毛をしっかりと洗浄・乾燥して膨らむ力を再生させるプレミアムダウンウォッシュ加工のプレミアムコースでリフォームいたします。
プレミアムコースの詳細については、こちらでご覧ください。
除じん・洗浄・乾燥が終わり、羽毛の膨らむ力が再生しました。
実際に今回の「ダウナ」の羽毛が再生した状態をご覧ください。
これはどちらも1gずつ筒に入れていますが、同じ1gでも膨らむ力が再生しているのが分かります。
丸まって閉じてしまっていた羽毛も、花が開いたように再生しているのが分かります。
プレミアムダウンウォッシュ加工で洗浄前後にファイバーやゴミなどを取り除いた結果、元の羽毛量1,480gから310g減って1,170gの羽毛が残りました。
■プレミアムダウンウォッシュ加工後の羽毛量
元の羽毛量1,480g→加工後1,170g(310gの目減り)
今回はシングル丈長230cmに仕上げるという事ですが、元の羽毛布団「ダウナ」と同程度の厚み分の羽毛量がちょうど残りましたので、相談の結果そのまま全量入れて1,170gで仕上げる事になりました。
また、側生地は「ドイツ製スーパーライトバチスト」をお選びいただきました。
「ダウナ」をリフォームする際の注意点で詳しくご説明いたしましたが、「ダウナ」の軽さやソフトな気持ち良さは側生地によって生み出されています。
その為、リフォームの際に気を付けて側生地を選ばなければ、重くて硬いような全く別の羽毛布団に仕上がってしまいます。
今回お選びいただいたスーパーライトバチストは「ダウナ」と同じくドイツ製の平織で、軽さや通気性の高さに引けを取らず、引き続き快適にお使いいただける上質な側生地です。
勿論、「ダウナ」と同じく少しの羽毛量でも大きく膨らみます。
なお、側生地には日本羽毛製品協同組合が発行するプレミアムダウンウォッシュ仕上げのラベルを付けています。
グートンは日本羽毛製品協同組合(日羽協)に正式に認定されたリフォーム認定工場ですので、プレミアムダウンウォッシュラベルの裏にも名前がきちんと載っています。
それでは、羽毛を吹き込んでいきます。
ノズルを使い、各マスに羽毛を吹き込んでいきます。
洗浄後に残った羽毛量を全量吹き込んで、1,170gで仕上げました。
すべてのマスに、羽毛の吹き込みが終了しました。
1マス1マスしっかりと膨らんでいるのが分かります。
最後に、羽毛を吹き込む為に開いた口の部分を縫製して完成です。
■リフォーム後の羽毛布団
サイズ:シングル丈長サイズ 150×230cm
羽毛量:1.17kg
生地:ドイツ製 綿100% スーパーライトバチスト
マス目:5×7マス マチ高8cm
改めて縦横に折って四つ折りにすると、40cm以上の大きな厚みに復活しました。
今回はシングルサイズ丈長230cmに仕上げましたので、シングルサイズと比べると丈が20cm長くなります。
数字で見ると僅か20cmですが、実際に比べてみると大きく違います。
今後は足が出て寒い思いをしなくても済みますね!
羽毛布団は、専用バッグに入れてお届けいたします。
通気性の高い不織布の専用バッグですので、使わない時はこのまま押し入れやクローゼットに保管していただけます。
K様、この度は羽毛布団のリフォームをご依頼いただき、誠にありがとうございました!
【リフォーム金額】
解体費:4,400円 (クイーンサイズ)
充填費:4,070円 (シングル丈長230cm)
洗浄費:11,000円 (羽毛量1.5kgまで)
側生地:36,300円 (スーパーライトバチスト)
足し羽毛:無し
合計:55,770円(税込)